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『2020ファーストレイヤー考察 』

『2020ファーストレイヤー考察 』

はじめに今季新作のOMM Core シリーズは間違いなくこれまでの「ファーストレーヤー」「レイヤリング」の考え方に一石を投じるでしょう。

登山、トレイルランニング、バックカントリースキー、スノーボード、クライミング、そして、マウンテンマラソン、これらすべての山岳スポーツに共通する常識として、私たちは運動中に一定の運動量を超えると汗をかき、そのまま山の冷たい風に吹かれると身体は冷えるということがあります。
そしてこの私たち人間の汗をかくという生理現象が山岳のような極地だと命さえも脅かす問題になるという矛盾を解決しようとアウトドアウエアは今日まで研究と進化を繰り返してきました。

その最前線を常に走るのが直に肌に触れ汗や水分をダイレクトに給水する「ファーストレイヤー」ともいえます。

今日、代表的なファーストレイヤーといえば、吸水速乾性の高いポリエステル素材をメインとした化繊素材のテクニカルウエアか、保温性と臭いにくいという点で支持されているメリノウール製品、そしてそのどちらの特性もバランス良く活かしたハイブリッド製品の3種になります。

吸水速乾性の高い化繊素材のテクニカルウエアは、マラソンやトレイルランニング等の運動量が高く汗を多量にかくスポーツには最適なファーストレイヤーになりますが、速乾性の高さの代償として冷えやすいといったデメリットを内包します。そのため体の熱量が下がったときなどには逆に保温性に欠けるため、長時間行動するアクテビティや暖をとりたいシュチュエーションも多く含む登山などには不向きな一面もあります。

逆にメリノウールはその着心地の良さと吸水速乾性の高いテクニカルウェアに比べて冷えにくく保温性を持ち、そして臭いにくという利点からとくに春先や秋冬時期に最善のファーストレーヤーの選択としても最も注目をされてます。

しかしこのウールには一度汗や雨で濡れると乾くまでに多くの時間を費やすといった最大の弱点があります。

近年はウールが濡れた状態でも温かいという側面を強調するようなレビューも見られますが、しかし当然ですが濡れればドライな状態よりも確実に保温性は下がります。さらに言えば、これらも前提としてシェルなどを羽織り冷たい風をシャットダウンしての話。濡れた衣類がひとたび冷たい風にさらされれば一気に熱を失い、逆に身体から体温を奪っていきます。つまりどんなに濡れても温かいといわれるメリノウールも一度濡れてしまった時の最善策は今もなおそれを着続けることではなく、一度脱いで乾かすことなのです。

メリノウールは比較的汗や雨などで濡れる心配のない、またその状態で冷たい風にさらされにくい季節や場所での登山やアクティビティには最善の選択のひとつですが、いっぽうで運動量が多く汗をかきやすく、またストップ&ゴーの多い山岳スポーツやアクティビティでは濡れると乾きにくいという性質をよく理解しておく必要があります。

また化繊とメリノウールのハイブリッド製品は、「ウールの暖かさ/保水性と乾きにくさ」と「化繊の速乾性/冷たい」というそれぞれのメリットとデメリットの丁度いいバランスを混毛率によってどこでとるか?という発想で各社が独自のプロダクトを発売していますが、一方でどれも化繊、ウール双方のデメリットの根本的な解決にはなっていません。
※もちろん混毛率に対してはそのほか耐久性能等さまざまな要素から各社が独自の視点で考えていることは言うまでもありまん。

話をOMM の新作 Core シリーズ に移します。

これらの製品に採用されているは PrimaLoft社の最新素材 ”PrimaLoft NEXT” はこれまでのアクティブインサレーションの常識を覆す素材。OMMでは世界に先駆けてこの素材を採用しています。

もともとPrimaLoft といえば、超微細マイクロファイバー素材によって羽毛のように軽くて暖かい保温性を持ち、さらに繊維自体が『水を含まない』という性質を持つため、濡れても保温性が落ちないインサレーションとして脚光を浴び続けている最先端の素材です。

さらにこのPrimaLoft Next シリーズは、動物の毛皮に見られる特性を模倣したさまざまな長さとデニールの繊維で構成されており、素材に自然な高低を作り出しています。これにより、移動中の空気の流れと静止時の空気の閉じ込めを最大化する非常に開放的な構造が生成され最適な熱性能が得られます。さらに運動時には極度の通気性を提供し、保温と通気=乾燥を両立します。

その結果レイヤリングを必要とせずに、一枚で複数のレイヤのように動作する温度調節システムを実現させました。また繊維自体が水分を含まないため、汗をかいても水分を瞬時に外へ外へと押し出していき身体は常にドライな状態を保たせるため「汗冷えとはほぼ無縁」です。

「保温」と「通気=乾燥」を高いレベルで兼ね備え、そして「濡れない」という驚きの性能で山岳のような極地でアクティブに活動するユーザーを「濡れ」と「冷え」から守るのです。

さて、ここまでの考察だとまるでこの Coreシリーズ は完璧で魔法のようなウエアといった印象を受けるでしょう。しかし、断言しますが世の中には完璧なものなどありません。
勿論この”Core シリーズにも弱点はあります。
そのひとつが耐久性です。

例えばメリノウールとナイロンの混毛で摩擦による耐久性をあげたファーストレイヤー等と比べると、この”PrimaLoft NEXT” の耐久性能はまだまだ及ばないと言わざるをえません。
とくに Core hoodyCore Vest に採用されている75g/1㎡という生地の厚さは非常に薄く、”PrimaLoft NEXT” の「通気=乾燥」という機能を最大限引き出すことを目的としており、いっぽうで耐久性能を犠牲にせざるを得えない側面が強くあります。
今はまだ使用するごとに少しずつ消耗していくことを許容できる、ウエアというよりもギアとして見れるユーザー向きのプロダクトであり、一方でできるだけ長くキレイな状態で、欲を言えばファッション的にライフスタイルでも使いたい。というユーザーには不向きなアイテムかもしれません。

またもう一点の弱点としては、やはり日本の夏場などの低山など蒸し暑い気候に対しては、プリマロフト繊維の保温性が不向きになってしまうというな点は否めません。

 

今日、このOMM core シリーズは完璧なファーストレイヤリングの選択ではないでしょう。
もう一度いいますが万人に対して完璧なものなど存在しないのですから。

しかし明確な目的をもったユーザーにとってはこれが最高の選択であることもまた間違いないといえるでしょう。

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